アルコールが成長期・思春期の身体に与える影響
 
 
 
成長期の身体は、アルコールを分解する力が弱いので肝臓で分解途中の毒素、アセトアルデヒドの濃度が高い状態で体内に長時間残ります。

また、アルコールを飲み続けると、小腸や大腸で栄養を吸収する力がとても弱くなります。
その上、アルコールの刺激で下痢になり、栄養が吸収されずに排泄されてしまい栄養失調になります。

これらの結果として、生涯にわたって影響する多くの成長障害や臓器障害が残ります。

障害がでる器官は、右の図のようにとても多いのがアルコールの怖さです。


@ 心臓
A バスト
B 胃
C 肝臓(かんぞう)
D 膵臓(すいぞう)
E 膀胱(ぼうこう)
F 男性生殖器官
G 卵巣・子宮などの女性器官
 
身体全体の成長障害
  カルシウム不足になり骨がスカスカになるので、大人の骨格ができにくかったり、身長が伸びにくくなります。
ビタミン不足や総合的な栄養不足が続き、成長にさまざまな障害がおきます。
 
@ 心臓への障害
  アルコールによって血管の収縮が大きくなり血圧が上ったり、アセトアルデヒドの影響で血圧が低下したりと、心臓への負担が大きくなり心不全で死亡することがあります。
 
A バストへの障害
  アルコールはエストロゲンのレベルに影響を与え、成長期の女性が必要な量が不足するので、女子らしい体型や機能を作る働きが弱まります。
その結果、第二次性徴にともなう乳腺や乳官などバストの成長が遅れます。
 
B 胃への障害
  アルコールは胃や腸の粘膜を刺激して、多くの障害を起こします。 胃腸の働きが弱まり、栄養の吸収率が悪くなり食べても栄養失調の状態になります。 また、アルコールの飲みすぎは、胃では出血や潰瘍になり長く飲み続けているとガンの発生率が高まります。
 
C 肝臓(かんぞう)障害
 
肝臓がアルコール分を分解すると、毒性の強いアセトアルデヒドに変わります。 大人の身体は、このアセトアルデヒドを分解する ALDH といわれるアセトアルデヒド脱水酵素を持っており、毒性を早めに分解してくれます。
ところが、 この酵素の働きが低い成長期では肝臓内で毒素をすばやく分解することができないので、体内に長くとどまり他の多くの臓器の機能を傷めます

アセドアルデヒドの作用には、嘔吐(おうと)や頭痛、血圧を上げるなどもあります。
 
D 膵臓(すいぞう)への障害
  アルコールによって膵臓に炎症が起こると、膵臓の細胞が破壊されたり膵臓が萎縮して慢性膵炎という病気になります。
また膵臓の機能が弱まると、インスリンの分泌が低下して糖尿病になったり消化酵素の分泌が低下して体重減少、脂肪便、下痢などになります。
 
E 膀胱(ぼうこう)への障害
  アルコールの刺激により、膀胱粘膜の異常による膀胱炎になります。 また女性で細菌感染による炎症がすでに始まっている場合も、アルコールの刺激で症状が悪化します。
 
F 男性器官への障害や第2次性徴の遅れ
  男子は男性ホルモンのテストトロンの量が減って、生殖機能の発達が遅れたり成長が止まります。
 
G 女性器官への障害や第2次性徴の遅れ
  女子は肝臓のサイズも小さく分解機能も高くないので、アルコールの成分やアセトアルデヒドが体内に長く留まりがちです。 
そのため、 成長期に酒を飲み続けると女性ホルモンが不足したり卵巣機能不全や月経不順になるなど、子供を生むための大切な器官が働きにくくなります。
 
急性アルコール中毒で死ぬことがある
 
短時間に大量に摂取すると、成長期の身体ではアルコールの分解スピードが追いつかず、アルコールの血中濃度がどんどん上って運動機能が麻痺し、気を失ったり心臓や肺の機能が急速に落ちて血圧低下、呼吸停止や心停止となり死亡することがあります。
 

 
家庭環境別 若年飲酒者がアルコール依存症になる確率
 

身体的未成熟期におけるアルコールの分解能力の低さによる内臓機能への負担の大きさや、アルコールが長く体内に残ることによって引き起こされる脳障害などの悪影響は、見過ごすことのできない大な問題です。

下のグラフは、2008年5月 アメリカの NIAAA 国立アルコール依存症研究所の Bridget F. Grant博士と Deborah A. Dawson博士など11人の研究者による 27,616 症例の研究データの一部を宮古島キッズネットがグラフ化したものです。

この報告では、若年でアルコールを摂取した場合のアルコール依存症になる確率を、家族にアルコール依存症者がいる場合といない場合に分けて算出しています。

 

参考資料:
1. Alcohol and the body infographic: drinkaware.co.uk
2. The Effects of Alcohol Abuse: KidsHealth.org
3. The Effects of Alcohol on Physiological Processes and Biological Development:
National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism
4. National Council on Alcoholism and Drug Dependence
5. CDC (Center for Disease Control and Prevention), Behavioral Risk Factor Surveillance System
6. The Journal of Clinical Psychiatry, Physicians Postgraduate Press, Inc.
7. The National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism (NIAAA)
 
 

 ご家族の皆さまと考える子供と酒の問題  

 
 子供と酒の問題を考える時、一番大切なのが家族の対応です。 特に親がこの問題をどのように考え、行動するかによって習慣化を防ぐ可能性が高まります。
 参考資料にある海外の研究所の報告をみても、繰り返し出てくるのが 「子供をお酒の問題から守ることができるのは、未成年の飲酒を禁じている法律ではなく、地域行政府のキャンペーンや学校での指導にまかせた結果でもなく、自分の子供に酒を習慣化させるのを防ごうと行動する親の本気度で決まる。」 ということです。

 子供が酒の味を覚えるのは、その多くが家庭での食事や宴会のときに親や大人たちが 「お前も飲んでみるか?」 とか、「今日は祝いだから、特別だ!」 といって飲ませることから始まっています。
 また、学校や遊び仲間との付き合いの中で始まるケースでは飲酒頻度が高く、高い比率で習慣化し依存症など生涯にわたっての障害となります。

 大人が酒を飲む時の理由として使う言い訳の多くが、
1. 本当は飲みたくないんだけど、付き合いだからしょうがないんだ。
2. 上司に誘われたんだから、断ることなんてできないよ。
3. 仕事を上手く進めるためのコミュニケーションだから、俺だけ外れるわけにはいかないんだ。
などがあります。

 ところが、多くの大人たちは気付いていないかもしれませんが、子供が酒を飲み習慣化するときの動機や理由が、この大人の使う理由と全く同じです。
1. 本当は飲みたくないんだけど、友だちとの付き合いだからしょうがないんだ。
2. 先輩に誘われたんだから、断ることなんてできないよ。
3. 仲間と上手くやっていくためには、俺だけ勝手に外れるわけにはいかないんだ。

 ここまで読んでいただいてお気付きと思いますが、子供の飲酒問題はスタート直後から非常に抜け出すのが困難な彼ら独自の社会的縛りの中にあり、大人社会同様自分の思い通りに行動しようとすると仲間はずれやイジメにあうので抜け駆けが許されない、という現実があります。

 この仲間付き合いが、酒量を増加させ飲酒頻度を高め習慣化させます。

 もうひとつ大人に気付いて欲しいのが、親はこのような子供が飲酒にいたる理由に対し、「あなたは子供なんだから、そんな付き合いはしなくていいの」 といえば付き合いが止められると思いますか?ということです。

 多くの子どもたちは、「そんなことをしたら、おれはもう終わりだよ。」 とまで真剣に悩みます。

 つまり、大人や親が今使っている説得材料は “子供が自ら出来る本質的な解決方法” には全く近づくことが出来ていないと言うことです。 言い換えるなら、家族が今の飲酒に至る口実や飲酒の習慣を根本から変えない限りは、子供を飲酒問題から救うことが難しいのかもしれません。

 子供を酒の犠牲者としないために
、自分の人生の予定コースを変えてでも行動する、との家族の本気度・覚悟が必要です。

宮古島キッズネット 運営管理部
 
  
参考資料:
ご家族での話し合いの参考として、宮古島キッズネットの運営組織である宮古島プロジェクトによる 「宮古島において、酒による社会的損失がどれくらい大きいかの考察と、実際の酒による健康被害、酒による家庭崩壊の実態の検証。」 も併せてお読みください。
 
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